ロンドン到着2日目、6月30日。



この日はいよいよ「近代能楽集」観劇の日!
昨夜眠れなかったのは、時差ぼけのせいか、それとも観劇前で緊張しているせいか?
とにかく私は竜也くんの舞台観る前は、{なんで私が!?}って自分で思うほど緊張するので(^_^;)
とりあえずホテルの朝食をたらふく食べて(ついホテルの朝食って食べすぎるよね?)
その日は朝から「竜也くんゆかりの地をめぐるロンドン市内観光!」



そのとき私は「はあ〜、ファンクラブツアーなのだわぁ」って感動いたしました。
だってだってバスの中で、竜也くんビデオを折にふれて流しながらの観光だったのですよ?
嬉しいような、ちょっと恥ずかしいような・・・。(^.^)
でも車窓も気になるけど、竜也君が頑張ってる映像みると、つい見入っちゃって。
ちなみに「身毒丸と呼ばれた少年」でしたよー、ビデオの内容。
ここが竜也くんの泊ったホテル・・・とか、
買い物した場所とか、ガイドさんが案内してくれるんです。
つい嬉しくなって、「ここを竜也くん歩いたんだ!」って思いながら、
しっかり足をふみしめてかずねっちも歩いてみたり・・・。



お昼は竜也くんが蜷川さんに連れられて御食事した場所、
チャイナタウンのとある中華店で野菜たっぷりのおいしいご飯を堪能。
最後までねばって食べてたのは、私です(^o^)
途中バッキンガム宮殿の衛兵交替を見学したり、ロンドン橋みたり。
なかなかおいしい観光でしたよ!



その後デパートで解散してお買い物。
私はそのときほど「正体のわからないツアー名でよかった」と思いました。
なぜなら、集合案内の放送があったんですよ。
「DRAGON ARROWSツアーの皆様、集合時間が迫っています・・・」
これが藤原竜也さん観劇ツアー・・・と、そのものの名前で呼ばれたら
ちょっと・・・・・・。照れちゃいますのよー。かずねっち恥ずかしがりやさんだから(?)



え?はやく舞台の話にいけって?
はい、ではそろそろ。
はやめにホテルに帰って、観劇ファッションにお着替えして。
いざ出発!バービカン。



抽選でど真ん中の席をゲットした私はチケットをにぎりしめ、
「いよいよだ、いよいよだ」って気分は最高潮。
開場時間までだいぶ時間があったので、まずはシアター内を見学。
竜也さんが載ってるリーフレットを発見して大喜び。
バービカン劇場のマーク(?)がとっても気に入りました。
どんなだったかというと、笑顔と泣き顔を表現したマークだったのです。
「ああ、これぞ演劇なんだよねえ」ってミョーに感動しながら、
これから「近代能楽集」を観られるってことを実感し、なんとも幸せな気分。



そしてそして待ちかねた開場!19時すぎくらいだったかな?
さてどんな劇場かな?っとドキドキしながら入ってみました。
、、、思っていたよりこじんまりしてるかなっ?
事前に見た映像では、とてつもなく広く感じたので、最初の印象はそんな感じでした。
でも実際席に座ってみると、やっぱり奥行きがあって、でかい!
それに通路がないんです。端と端にドアがあって、1列にずらーっと席が続いてる。
舞台と客席が一体化してる感じで、劇場全体がとてもまろやかな造りなんです。
宇宙カプセルに入った気分? 
舞台と客席が一緒のカプセルに入って、いざ!お芝居の世界へGO!



いっせいに両脇のドアがしめられて、同時に館内が暗くなり、「卒塔婆小町」の音楽が流れる・・・。
感激しましたねえ、とっても。
去年日本で何度かきいたこの音楽、ロンドンの、この劇場で聴いてる私は、ほんとに私なんだろうか?
通路も花道もなかったので、役者さんは舞台袖からの登場でした。
舞台上方に英訳がうつしだされ、「へ〜、英語だとこんな文章になるんだなあ」
ってまだまだ余裕だね〜〜、自分
ロンドンのお客さん、実によく笑う。とても芝居を楽しんでる。
ときどき英語のほうが日本語より微妙にはやく訳がでちゃって、
台詞出る前にイギリスのお客さんが笑っちゃうってなシーンもありました。
でもそれもなかなかできない体験なので、私は楽しかった♪



「卒塔婆小町」は去年みたときよりも、とてもトーンが明るくなっていたように思いました。
ミュージカルっぽいというか、爽やかな感じ。前向きな印象。
拍手、すごかったです。
ふと「いま、裸にしたい男たち」の竜也くんを思い出して、
「ああ、いまごろ緊張してるんかなあ」って思うと、胸がキューんとなっちゃって。
約20分の休憩で、いよいよ「弱法師」
さあ!目を皿(表現古い?)にして、全身を耳にして、とにかくこの瞬間を味わうのだ
昨年11月の大阪楽から半年余り、いまこの地で!



桜間さん、中央。川島夫妻、高安夫妻、舞台袖から入場。
でてきた瞬間から、二組の夫婦の違いがものすごくよくわかる!
日本公演のときよりずっとわかりやすかった! 
そして、存在感も増しているし、かけあいがとってもおもしろい。
すべての役者さんの熱気が伝わってくるようで、「いいぞ、いいぞ、こりゃいいぞ!」ってもう期待大!
桜間さんの立ち姿が凛として、美しい。
『私の目には怒っている炎も瑪瑙の彫刻にしかみえませんし・・・』の辺り、圧倒的存在感。
そしていよいよ俊徳さん登場なのですが・・・。



ロンドン出発の直前までドラマをみていたせいか、なかなか俊徳像を想像できなくて、
ただなんとなく、ぜったい髪の毛は白!いつ髪の毛白くしたのかなあ?
ってどきどきして登場を待っていました。
前述の通り、通路も花道もないので舞台袖から登場。
観客の視線が一斉にそそがれるなか、期待の間!
舞台袖のドアだけが先に開きます。そこから光がこぼれます。スモークと光の共演!
そして最初に杖だけがでてきます。次に足。どきどきどきどき・・・。
いよいよ俊徳さんのお姿が。


「きゃーっ!やられたっ!」


髪が、かみが白くない(・o・)
わたしはこのとき自分の先入観というものをとっても恥じた!
うっわー!これだけで私は大・興奮。
さらさらの髪(ちょっと茶色い?)が光に透けてとってもいい色合い。
観客もあっけにとられてるような美しさでしたー。まさに、王子様。
白いスーツに黒髪だと、なんとなく俊徳の狂気のようなものがより強くかんじられるんですよ。
周りの人間を馬鹿にしているような、ちょっとキツそうな奴・・・って印象を受けました。



最初の俊徳の台詞をきいて、「ああ、俊徳さんの声だ!」ってそこでやっと気持ちが落ち着いた私。
大阪公演のときよりも更に磨きのかかった甘え声。
「なつかしい声ですね」この‘ね↑,のトーンの上げ方が最高!
最初の長台詞、早口なんだけど心地よいリズム。
少し速くしたら、途中でテンポをもどして、最後はリタルダンド(遅く)。音楽のよう♪
二組の両親が俊徳の言葉に翻弄されてる部分では、随所に観客の笑いが入る。
ときに大爆笑も入るのよー。
俊徳の台詞のところは、体の動作で台詞の意味を述べる・・というところが日本公演にくらべて多くなっていたかな? 
(しかしスタイルいいわぁ、竜也くん)
二組の両親、迫真の演技。とくに高安夫人の上手さに目をひかれました。
「卒塔婆〜」でもそうだったんだけど、「弱法師」でも『イギリス煙草が好きなんだね』と高安氏が言う所。
びっくりするほど「イギリス」の声がおっきいんだ(^_^;)



そしていよいよ、入日のシーンです。俊徳の声がいっきに低くなるんだけど、こちらが思ってるよりも、もっと低い!
あんまり低いんで、「これでほんとに最後までいけるんか?」って不安に思ったくらい。
でも、それはもちろん取り越し苦労でした(^.^)
僕はたしかにこの世の終わりをみた・・・と、俊徳の独白が始まるんですが、最初の部分、
ほんとにおそろしそーに、がくがく震えながら、魂をしぼりだすように話すんです。
観てる私まで寒くなってくる。
たおれこんで床たたくところ、力いっぱいと!いう感じではなく、余力で、床に自分の哀しみをたたきつけているような。



やがてシャツを脱いでしまうんですが、大阪公演のときよりも体が細くなってて、ズボンが落ちそう(?)なんて思ったり。
髪の毛もさらさらだし、体つきも「身毒丸と呼ばれた少年」のときくらい細くって、
なんだかビデオの竜也さんとシンクロしてしまった。
炎に包まれた記憶を語る長台詞は、去年の埼玉公演、大阪公演とはまた違った雰囲気になってました。
言葉の区切り方や、ちょっとした間や、台詞の言い方で、こんなにも受ける印象が違う!
、、、なんてこの舞台はおもしろいんだろうって思いました。
2度と同じものはみることができない、生ならではの魅力。



私の好きなところ、『薔薇色の、罌粟色の・・・』涙が入り混じったなんともいえない声。
そして倒れこんでしまうシーン。日本公演のときと違っていました。
音楽のクライマックスと、俊徳が叫ぶところが、微妙にずれていてとってもよかったんです。
叫んだあとに音楽のクライマックスがおとずれた・・という印象でした。
倒れこみ方がとってもゆっくりじわじわと。
それからずいぶん長い間、俊徳は目を覆ったまま、胎児のようなポーズで動かない・・・。
さらさらの黒髪は汗びっしょり。
きれいなおでこがその間ずーっと見えていて、ほんとに哀れな少年・・・、傷ついた、ひとりぼっちの。



あのしなやかな体でおまけに黒髪なので、よけいにこちらの心がわしづかみにされる。
桜間さんが思わず駆け寄った時、きっと観客みんな同じ気持ちだったろうと思います。
この後の二人のシーンが、濃密になっていました・・。うーん、エロいー、官能的ってこういう事言うのかなあ(゚.゚)
「身毒丸」のラストのシーンをおもわず思い浮かべました。
このときの俊徳さん、哀れっぽさと色っぽさ、子どもっぽさ、もっといろいろ・・・ 
不思議な魅力でした。



前半がとても大人っぽい俊徳さん(高慢さもある)だったので、
余計に後半の裸で一人っきりの俊徳の透明な心が際立ったようで、
そのときになって俊徳の着ていた真っ白なスーツが鮮やかに目に浮かんできました。
形というものを信じないといった前半の台詞も。



「腹がすいちゃった・・・」すっごい無垢な声。
「ウン」という返事もまるで映画の吹き替えの子役のような声。
でも最後のセリフは・・・。
どこか知らない誰かをみながら言ってるようで、子どものような声なんだけど、ちょっと毒があるような。
うわーっと胸がキューんとなったのは、
桜間さんが俊徳を一人部屋に残していくシーン。
去り際に、俊徳の頬を愛しそうに優しくそっと撫でるんです。
これは、新しい演出なのかな?
オペラグラスでみていた方によると、
そのとき彼の口の周りは泡だらけで、それを思わずぬぐってあげたのではないか?
っとおっしゃっていましたが。 
凱旋公演で確かめなければ!



「オチル」タイミングもよかったですねえ。暗くなるまでの時間も緊張感があってちょうどいい長さだった。
舞台全部が暗くなる寸前、後ろの方から男性の声で「ブラヴォー」がかかりました。
ぴーぴー♪と指笛の音も。
その後竜也さんと高橋さんがすぐでてきて、いろんな方向へご挨拶。
そのうち「卒塔婆小町」の出演者のかたも揃って。
竜也くんは詩人役の横田さんと肩をたたきあって喜んでいました。
「よ〜やったなあー」が私の竜也さんへの感想。
やっぱすごいよこの人!あーもう、遠くにいる人だ、世界にいっちゃう人だ、
握手会をしてくれるような人じゃないんだー、ホントは・・・。



竜也くんがひょこひょこっ(←ほんとにこんな感じ)と走って舞台袖に消えていき、
蜷川さんを舞台にひっぱって、場内はいよいよ総立ち。
そしてそして綺麗だったのは、役者さんの頭上に、お花がばらばらっと降りかかってきたんです。
うっわー、夢のように綺麗!
花束とか、花びらとか、ブライダルシャワー(いまだあびたことはないが・・・)のように
1個、蜷川さんの頭に花束がぼこっと落ちて、場内も役者さんたちも大受け(^O^)
何度も何度もお辞儀して、最後は竜也さんと高橋さん、手をつないで「ばいばいー」っとしてくれました。
そんでわたし達もばいばいーと手を振って・・・。



終わりました。その後はとにかくぼーっとしてて記憶があんまりないです。
お友達のDさんに思わず抱きついてしまったような・・・。
役者さんもスタッフの方々も一丸となった、熱気うずまく いい舞台でした!
こんな瞬間に立ち会えて、幸せ。
魂をしぼりだすように、表現をこえた表現をする竜也さん。
「この人壊れるんじゃないか!?」って思わせるようなその姿に、やっぱり私は骨抜きになりました。
この瞬間の私の気持ちは「こんなすごい舞台をみせてくれたんだから、
もう握手会なくっても満足だー!」(でもやっぱりあったほうがいいに決まってるんですが・・・♪)



以上、「舞台がどんなんだったか?」レポでございましたm(__)m



2001/6/29〜