身毒丸 復活・3月19日ソワレ。

6列目センター寄りにて観劇。
いいなぁ、さい芸6〜8列が一番観易い。
一度2階から、身毒丸の全体像を眺めたいのに
こんな時に限って、手持ちの最後列は6列目。
贅沢な悩みですよね、すみません。

オープニングとエンディングで現れる、有象無象の人々。
舞台縁へ辿り着いて、一列に並んだ其の顔々の列は
何とも云い難い苦痛で歪んでいる。
生きることの喜びに反して強いられる苦行は、
一体人生の何割を占めるのだろう。

今回の身毒丸では、ブログで素敵な文章を披露して
下さっている妻鹿さん。
昔個人サイトをお持ちで、確かお名前が四文字でしたよね?
読み間違えられることが多いから、もしかしたら
改名されたのでしょうか。
母売りワゴン上の妻鹿さん、舌遣いが濃厚です。

仏壇の蝋燭、自動点灯(笑)の時も御座いますが
仏壇間に居る時には、身毒が点けております。
照明がとても暗い時ですが、地味なお芝居も
きっちりこなしているので、見逃さぬ様に凝視。

今回、異様に犬が吠え続けていて気になりました。
何時もあんなに長くないのになぁ。(^_^;)
音響さんを、ちょっと心配してしまいました。

行水へ向かう身毒丸は、鼻水をじゅるっと啜って
おりました。
復活ヴァージョンは、夕食のコロッケ譲りのシーンも
そうですが、撫子におパンツ姿を見られてぽろっと
タオルを落とす等、かなりあざとい手法を取り入れて
いますよね。
観客には、とても解かり易い。

戯曲には無い、撫子と身毒丸の掛け合い。
『後ろから聞こえる木霊』の幕が好き。
混乱の中で拒絶し合いながらも、求め合い。
逃げつ追いつつ、又深まる溝。
ラストと呼応する叙情。

髪切虫の幕で、伊右衛門さまを思い出すのは私だけ?
詞の形態が似ているからなのかな。
一瞬なんですけどね。

仮面売りのおじさんの穴のシーンで、珍しく竜也さんが
台詞を噛んで言い直していました。
継母にお尻を打たれて、そんなにうろたえんでも。
もっと落ち着いて下され。(笑)

あ、初めて折檻シーンのコルセットが座列が下がって
私にも見えたんですけれど、あのグラデーションは
確かに目立ちますな。
白石さんが、シャツを抑えながら肌蹴ない様に
気を使われている様が、印象に残りました。

転換の時に、色々な小道具の回収を致しますが
穴、蝋燭船で巧みに明るい時に回収されて
いるんですよね。
船で穴、踏んじゃうよぅ〜!と思った瞬間にするっと。
流石です。ヽ(^。^)ノ

そうそう、蘭さんが小技を加えて参りましたよ。
ご先祖様の額縁を、撫子と磨いている時
『でも其のお母さんは私じゃない。』と、撫子の
台詞に合わせて口パクしています。
『どうしてで御座いますかねぇ…』って、うんざり
している様子がよく解かります。

眼を潰された身毒丸、よろよろと去ってゆく時に
躓いて転んでしまいました。
でも、偶にはいいかもしれません。
今公演物凄い呪われ方だったので、直後に其れ程
脱力していたって構わない。
むしろ何時も、卒塔婆の迷路をぬって上手く立ち去る
身毒丸の方が、違和感があったり致します。

私は一日2回公演のソワレを拝見することが近年
余り無いので、お疲れが出ているからなのかはっきりとは
判りませんが、少々力みが戻って来てしまった様な気が
致しました。
『怯えた顔が可愛いよ、せんさくぅ〜…』も、
不満でしたね。(=_=)
あの幕は、眼を潰された身毒が如何様にして生き抜いて
来たのか、観客におぞましさを植え付けねば。

でも『夢中遊行の白い伏床』に『蓮の船』は見えました。
あの一節、大好きなんです。
随所の撫子と身毒の目線と足運びからも、眼が離せない
今日この頃です。



【覚書】



以降 3月26日マチネ

    4月 3日マチネ

    4月10日マチネ 大千穐楽


かもめ

    6月20日ソワレ 初日

    6月26日マチネ

    7月 3日マチネ

    7月 8日マチネ

    7月12日ソワレ 東京楽

    8月 7日ソワレ

    8月 8日ソワレ 大千穐楽


2008年9月10日CGI消滅と共にデータも全て復元出来ず。

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