ロープ・初日。

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ものの見方や考え方は、人其々違います。
全く同じこと等有り得ません。
恐れ入りますが、宜しくお願い申し上げます。
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最前列センターにて観劇。
回り舞台の上にリング、上手側に出入り用の建物二つ。
回り舞台は初めは手動でしたが、後半は自動で回って
いましたね。
手動にも、何か意味を持たせているのでしょうね…
手前の建物には鉄製のドアが一つ、録画用の
ハンディカメラがぶら下がっています。
舞台縁には、下手側から延びたコードと舞台中央には
其れに繋がるソケット。
是は、隠し撮りをしているカメラとは繋がっては
おりませんが、繋がっているものとして表現されています。
奥の建物は木製でドアは二つ。
リングの在る空間と、下界を分けていると思われます。
舞台中央には小さい箱型の、カーテンの様な
白い布の下がったテーブル。
この箱は、時には給食セットの如き食事を置く
テーブルになり、或る時にはスタンドマイクになり
又或る時には、布から『タマシイ』が更に小さな
スタンドマイクを携えて滑り出て来る小道具です。
下手側には、縦型のトンガリ屋根の付いた四方体の
ボックスが一つ。
この中に、ヘラクレスが引き篭もっています。
この箱が総裏に引っくり返る処は、美術さんのプロ魂。
舞台奥には、黒地に白い文字でびっしりと文字の刻まれた
壁がそそり立っております。
この文字は、最前列でもはっきりとは読み取れません。
ローマ字表記ではありますが、綴りが英字体では無く
推測ですが、ベトナムの無くなった方々の名前かなと
思いました。
私には、墓標に観えました。
野田さんは、大道具や小道具に布を使用することを
好まれますね。
其れから、映像等の実写を舞台に織り込んで演出効果を
引き出すこともお好きかと思います。
今回黒地の壁にも、やはり文字を転写させて大きな効果を
得ております。
擬音は最高に漫画チックで大笑い。
視聴率の数字は、最早笑える幕ではありませんでした…
開演前に、客席に音楽を流し導入させる手法も頻繁に
使われています。
この度も同様です。

新作のこの戯曲に関しては、野田さんは大きな笑いに
中盤迄は、是でもかと云う程趣きを置いています。
私はゲラゲラと笑いましたし、思わず思ったことを
声に出してしまった瞬間も御座いましたし、鞄を叩いて
笑ってしまった程でした。(^_^;)
是は、後半のどす黒い重たさが前提である為
敢えて冒険して来ている部分だと感じました。
対して詞で遊ぶ部分はかなり省かれており、観客の眼に
如何にして目の前に無いものを見せるかで勝負していると
思います。
半殺し→2/3?4/5?9/10?→人殺し(人=一つ=100/100)
とエスカレートさせ繋ぐ部分は、流石だなと感じました。
観る側の幻像の伝手は、宮沢えりちゃん演ずる
『タマシイ』が実況し、竜也さん演ずる『ノブナガ』も
其の役割を大きく担っています。
台詞の中では『無かったことをあったことにしては
ならないが、あったことを無しとしても良しとする。』と
幾度と無く繰り返します。

メッセージを解く鍵としては、携帯電話の向こう側に居る
実態の無い『ユダヤの社長』。
第三者的に暴力を煽り傍観し増幅させる存在として、
観客に大きく圧し掛かって参ります。
此処で何故『ユダヤの社長』なのか。
恐らくユダヤ人が、戦況を操作していたと云う
未確定の伝聞から取っているのではないでしょうか。

当然ユダヤでヨーロッパを表している訳ですが、
アジアは日本と絡めてベトナムで表現しています。
ある晴れた日に、4時間で滅びたベトナムの村。
パンフレットに、野田さんが参考にされた文献の数々が
紹介されておりまして、一つ一つ当たれば
解かることでしょうけれど、恐らくこのベトナムの村の
殺戮は、実際にあったことでしょう。

ユダヤの人々で『無かった(あったか無かったか不鮮明な)
ことはあったことにしてはならない。』と人間の
理性や道徳に関する提示を、ベトナムの人々で
『(実際に)あったことを無かったこととしても
良しとする。』と、人間の邪気やえげつなさに関する提示を
其々、観る側に発していると私は受け取りました。

後半の、観客の眼に映った残虐な光景は実際に
『顔の見えない人間』として、舞台上に現れている
ベトナムの人々が、畑を耕したり一家団欒の
食事を楽しんだり、夫婦で肩を揉んだりお茶を啜ったり
そういった日常の、何気無い生活風景を役者さんが
パントマイムで演じているが上に、一層考えさせられます。
戦争は、そんな小さな小さな幸せを虐殺行為で
破壊してゆきます。

長くなったので、印象に残った役者さんについて
簡単に少しだけ。

宮沢りえちゃん@タマシイ
ピュアな存在と、後半の其の純粋さが汚され翻弄される
ギャップを、竜也さんが仰っていた通り『ストレート』に
演じていらっしゃいました。
見た目は本当に華奢ですが、内々から滾る力を
秘めた方ですね。
但し、御声が後方迄届いているのか、怒涛の2ヶ月公演を
乗り切れるのか少々気掛かりな点です。

渡辺えり子さん@JHNDDT
ディレクターの妻でっす。(ーー;)
気弱な夫を、張り手で制圧する辺りはお見事。
若いヘラクレスには好意的なのも可笑しい。
ピンクの下着が丸見えなのも、もう許しちゃう。(笑)
もずくの啜り具合も豪快でナイス。
視聴率を火星→金星→冥王星へと伸ばすことへの執着も、
非常に好演されておりますね。実に芸達者。

宇梶さん@グレイト今川
プロレスラーが似合い過ぎ。(=_=)
初登場の派手なパフォーマンスには、度肝を
抜かれましたよ。
大爆笑して、ごめんなさい。(笑)
確かにキティちゃんを日本人は好きですが、
ディズニーのキャラクターは何処の御国でしたっけね?
お上手。!(^^)!

じゅんさん@カメレオン
役名の通り、何色にでも染まる日本人を好演!
じゅんさんは、お手のもんだよね。
そう、貴方はキラじゃありまっせん。
キラな訳が御座いません。(^^ゞ
身体のキレも、相変わらず軽やかですねん。

三宅さん@AD
ポロシャツだもんなあー…
もっと激しい役かと思っておりましたが、少々拍子抜け。
でも、他人に振り回される役柄を難無くこなされていると
思いますよ。

中村まことさん@入国管理官ボラ
唯一、異質な存在。
ところが、妙な雰囲気を充満させる重要キャラです。
何となあーく、未だ戸惑っているシーンも
見受けられましたね。
振り切って下さい。(笑)

明樂哲典さん@レスラー北
んーーーーー…弱いっ!
物足りない。(爆)
あんなに台詞もあるんだから、もっとリラックスしようよ。

AKIRAさん@レスラー南
あんなに台詞が無いなんて…(>_<)
身体だけが目的なの?!(←問題発言)
そうなの?野田さんっ…
流石に、ブーメランパンツがお似合いでした。

野田さん@D
ディレクターの、Dです。(゜o゜)
男を演じていても、やっぱり野田さんはふにゃ風味炸裂。
ビンタがぶひっ!って鼻にヒットしちゃったの、
観ちゃったもん。(笑)
マゾだよねえー。(←だから、問題発言!)
えり子さんの胸に蹲って、マジで窒息の危機を好演。
ヽ(^。^)ノ

竜也さん@ヘラクレス・ノブナガ
元気です、元気一杯です。(笑)
衣装も3パターン、とっても可愛くてお似合いです。
私は最後の、ナイキのドライシャツと迷彩パンツが
一番好きかな。
赤が好くお似合いで、衣装の方も体格に似合ったものを
きちんと選択されている。
じゅんさんは、ブルーのタンクトップのドライシャツだし。
初めのノブナガロゴ入りの、オリジナルジャージも
素敵だし、2番目のレスリングタイプのパンツスタイルも
好き。(←何でもええんちゃうの?)
フリーズした時、AKIRAさんの肩に担がれたままですけども
どちらもアレは、お辛い体勢であるとお察しします。
中盤迄は、楽しんで演じていらっしゃるのが
伝わって参ります。
野田さんに、素敵な台詞を頂いておりますねぇ。(*^^)v
『汝の名は、引き篭もり!!!』
どうして殿下なのですか。(爆)
ですが、やはりスケジュール的に厳しかったのか
不摂生か、はたまた内蔵を患われているのか顔中の
赤い吹き出物が、非常に憂う衝撃で御座いました。
御声の状態は万全だし、徐々に回復されれば好いのですが。
要所要所で、蜷川さんから叩き込まれたものから
悪い意味で抜け切れていません。
自分は、プロレスを八百長だと信じ込んでいるノブナガを
演じて来たのだと告白する辺りから、眼に輝きが
灯っておりましたけれど、特に後半部分は未だ手探りの
状態が精神的に持続されてしまっていると考えます。
御本人は『りえちゃんが背負ったものが大きい』と
仰っておりましたが、竜也さんも大きなものを
充分背負っておりますよ。
受け取った『魂のびしゃびしゃ』を、最後に高く掲げ
空に放ちましたよね。
うん、もっともっと良くなると思う。
完成度は高いので、是非120%迄引き上げて頂きたいと
願っています。

座席上、舞台の全体像を把握するのは困難でした。
白いゴムで鉄条網を表現しておりましたが、ぽよぽよとした
ゴムにしか見えなかったなー…
是非2階から、再度確認したいものです。
予定は週一ですが^m^多忙な年末年始。
どうなることやら…


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