オレステス・17日マチネ

二階上手、センター寄りにて観劇。
私は土日観劇の頻度が低いのですが、日曜日の
お客さんは男性比率が高くて、ちょっと嬉しい。(^^

わぁ〜いいなあー!と、素直に思いました。
バラバラだった成分が、一つになろうと徐々に
寄り添い、ぎゅっと大きな一つの塊に成りつつある。
そんな印象を受けました。
アメーバーみたい。(笑)
是がもっと成熟し、かちっと一つの生体になると
きっと素晴らしい舞台と成りますね。
この先が、楽しみで仕方がありません。

とても気になった、演出の変更。
コロスが輪になって、左回りに回る幕が3箇所
御座いますが、エレクトラと一緒の最後の幕。
エレクトラを中心に、螺旋状にローリングする
演出があったのですが、無くなっていました。
エレクトラと同化する様で、とても好きな
シーンだったのに残念です。
前半〜中盤のオレステスの台詞の間合いに、かなりの
余韻を持たせて来ている為、時間的な都合なのかなと
思いました。

セットのコロシアム風の半円形とコロスの馬蹄形が、
視野の均衡を保つのに大変有効活用されていますね。
集団で創り上げる美と共鳴。
大きく、小さく。
何度もコロスの馬蹄形は出て参りますので、
どうぞお見逃し無く。

個々の役者さんに関しては、瑳川さんが絶好調だと
感じました。
オレステスに対する嫌悪感と、不貞な二人の娘を持った
父親の不幸。
とても説得力があり、観客を納得させられる力量を
発揮されていました。
鋼太郎さんは、終盤御声がきつかったでしょうか。
中盤迄は、然程気になりませんでした。
中嶋さんは、雨の中でも正確に詞が後列まで届いています。
二階席でも問題無く、エレクトラの慟哭が伝わって
参りました。
有起哉さんは、少し台詞が流れてしまっていた印象です。
三人で、地下に眠るアガメムノンに祈りを捧げる
シーンには、若干の不協和音を感じました。
誰がいただけないと云う範疇では無く、パズルの
ピースが噛み合っていなかった。

竜也さんは、オレステスを理解し始めましたね。
何がどう違うのかと問われても困るのですが^_^;
要は、観客にオレステスの真情が伝達されるか
されないかの違い…の様な気が致します。
中盤までは、是が唯一の鍵だとも思っています。
惨めな運命を辿っているエレクトラやオレステスが、
どれだけ観る側を揺さ振り、心情の吐露を観客へ痛みとして
帰依させられるか否か。
是が伝えられないと、あー…何か叫んで泣いて
退屈だったあ〜(爆)で、終わってしまう。
其れが、ギリシャ悲劇の難しさなのかもしれません。

オレステスとピュラデスのビンタ攻勢は
消えてしまいましたけれど(ーー;)でも、
お客さんが厭きない演出になっているなと、
改めて思いましたよ。
私の前列のカップルが、中盤ぐぅ〜ぴぃ〜本気で
お眠りあそばしておりましたけども(=_=)激しい生演奏の
パーカッション、びくっと起こして差し上げて。(笑)
お見事でしたあー。
鈴の音を出しているのは、上手側のパーカッションの
方なんですね。
舞台袖の、見えない処で鳴らしているのかと
思っておりましたが、きちんと譜面をご覧になって
奏でていらっしゃいました。

竜也さんの傷ですが、右肩の痣と両踝のどす黒い
傷痕が気に掛かりました。
やっぱり(T_T)右膝の下をぱっくり切られて、
流血しておりました…
でも何でしょう?惨い視覚的惨状よりもオレステスの
心の痛みの方が今回痛々しかったので、余り
気になりませんでした。

舞台から離れていると、語尾がはっきり聞こえて来ない
場合もあって『あなたの不幸は身内運』の『運』が
完全に掻き消されておりましてね。
『頼りにならない身内のせいで〜』と、一瞬
えっ?!飛んだ?あっ!飛んでない…
好かったあー(^_^;)等と、独りおろおろと動揺して
しまいました。
最後の台詞は、前後してしまいましたね。
『今迄の…』・・・基。
『私は今迄の〜』と言い直していたのが、耳に残りました。
暗転直前に、オレステスの弱いスポットライトだけが残り、
暗闇に頭を垂れゆく様が浮き上がり印象的です。
アポロンの神託に安堵した故なのか。
其れとも、復讐の輪廻を想いうな垂れるのか…

余りカーテンコールのことは記述しませんが、
意表を突かれたので書いとこっ。!(^^)!
最後(3回目)に出ていらっしゃった際に、
何やら鋼太郎さんとこそこそ話の竜也さん。(笑)
次の瞬間…!?!?!?
両手で大きく、手を振って下さいまして?
ぎょっとしたものの、何故か拍手を止めて
大きく振り返した^m^ちゃむで御座いました…
アレは一体、何だったんだ???
まあ〜いいや。(*^^*)
導入とカーテンコールで使われている、オリジナルの
オレステスのテーマ。
抒情的なこの曲が、女性の歌唱と共にぐるぐると
頭の中から離れません。(_;)




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