オレステス・名古屋大千穐楽。

どうしても、何が何でも名古屋公演に行きたかった理由…
最後のオレステスを、しっかりと記憶に
焼き付けたかったから。(爆)
5列目センター上手寄り、通路側にて観劇。
昨日の生唾シャワー通路席(^_^;)とは、反対側の
通路側です。
すると…おやっ!偶然とはあるものです。
私のお隣がHさんとIちゃん…
そう!Hさん→私→通路→Iちゃんの並び。(笑)
別々に取っているんでね、ファンクラブ枠とは言えども
嬉しいサプライズ。

中嶋さん、気力で乗り切りましたね。
初期の頃の迫力が観られず残念ではありましたが、
演劇は聴覚だけで魅せるものではありません。
知らせの者が訪れた時の眼の輝きと、死刑の決定を
聞いた瞬間に変化する、くぐもった失意の暗い瞳。
実弟を見詰める姉としての眼差しと、男としての
ピュラデスへ向ける女の表情との違いのコントラスト。
素晴らしいエレクトラだったと思います。

大楽、コロスも好かったなあー。最高だったと思う。
前楽では、舞台下から駆け上がる時に下手階段で
思いっ切り、弁慶の泣き所を打ってしまったコロスが
いらっしゃいました。
今公演では、終盤上手側のコロスが雨に足を取られて
物凄い音と共に転んでしまい、焦って立ち返ろうとした為
今度はご自分のスカートの裾を踏んでしまい、再び
ダイナミックに転倒してしまいました。
徐々に雨を降らせる部分が少なくなり、最後には
女性のみが雨に打たれる演出になってしまい、やはり
女性には苛酷でした…
乗り越えた大きな功績に、大きなエールを贈ります。

ピュラデスは、2回もオレステスの耳元にそっと
キスをしていました。
有起哉さんから竜也さんへの、本当の意味での
お疲れ様の挨拶だったのかもしれないと今思う。
アポロンのお告げを聞いている際、メネラオスが
一度落とした剣を手にし、オレステスに
近付こうとしているのを見て、其れを阻止しようと
短剣を取り出し威嚇している様子は、何度観ても
友人を守ろうとするピュラデスの、勇敢な志
を感じることが出来て嬉しかった。

メネラオスとオレステスの攻防は、毎回違うヴァージョンを
盛大に繰り広げて楽しませて頂きました。
前楽では、オレステスの顔を突き飛ばしお腹を
本当にぼこっと音が聞こえる程、2回蹴っていました。
アポロンの神託を聞き、まるで天保の徳間さんの様な
『えええ〜〜〜っ?!』と云うリアクションも、
前楽が一番テンションが高かった。(笑)
大楽では、オレステスにマントを引き摺られ過ぎましたね。
最終公演だから、衣装が破れても構わないし(笑)
離さなくてもよかったのに、竜也さん。(^^
…って、それじゃあ鋼太郎さんが困るわぃっ。
終盤の掛け合いも、転がり回ってオレステスに
動揺し
本当に、臨機応変なお芝居を魅せて下さいました。

田村さんが背負っていた籠の中味が気になって
仕方が無かったのは、私だけ?
アイビーと南天と、葉っぱは柿の葉???
最後迄、結局判りませんでした。^m^
ワンシーンのみとは言え、あれだけの台詞を
スムーズにこなした画伯にも、拍手。

よこちんは、呑み過ぎ注意!(←其処かよっ)
お芝居に、出ちゃう時あるからさあ〜♪

オレステス。
竜也さんの錯乱した時の眼が、本気で怖ろしかったなぁ。
リアルな世界では、お近付きにはなりたくない程に。

大楽では、サポーターが膝下に下がっても
ピュラデスとの再会時、さり気無く直すことを
しなかったから膝が心配だった。
メネラオスにも、座って懇願するから長い剣が
前方を向いてしまって、裸のお腹や肢に刺さりはしないかと
はらはらした。
肘や踝の傷は深そうで、黒ずんでしまっているけれど
綺麗に元に戻るだろうか。
最後まで右足の親指と左足の親指・人差し指のテーピングは
外せなかったですね。
爪、ぼろぼろなんだろうなぁ…
男だから、我慢我慢。(泣)

凛々しいオレステスも好きだけど(*^^*)私はかなり、
情けない台詞も好きだった。
『僕はもう、皆んなから見放されている…』とか
『僕には関係無いことなのに…』とかね。
私がこの作品が好きだったのは、完全にオレステスに
感情が移入出来たから。
メネラオスやオレステスが、所作も交えて観客を
ギリシャの民衆や大衆に例えていたでしょう?
テュンダレオスが登場する直前の台詞からも解かる様に、
おじいちゃんとおばあちゃんに可愛がられて
育ったオレステス。
メネラオスも、最初から実兄の息子を見放そうと
思っていた訳では無い。
至極真っ当な親族関係にあったのに、母親の行いに因って
罪を犯してしまったことに、変わりは無い。
だから『出来ない。無理だ。そう言うつもりですか?』
と云うメネラオスへのオレステスの気持ちに、
近付くことが出来たんです。

城壁から下に降りて来る直前の、ピュラデスへ向けた
最後の台詞。
『胸壁を……』重い間を取った後の『焼き尽くせえーっ!』
の間に、全てを感じたよ。
上着を抱き抱えていた私の腕の上に、どんどんと
積み重なって視界を妨げるビラを、必死に振り払った。
目の前で項垂れてゆく最後のオレステスには、
10%
の安堵感と20%の是から先の不安と、70%
人間の不条理さを伝えて貰いました。
しかとメッセージ、受け取りました!

カーテンコールで、いきなり中嶋さんを抱き寄せ
強く抱き締めていた竜也さん。
舞台と云う戦場で共に戦った勇士への、最大の感謝を込めた
ハグでしたね。
蜷川さんも瑳川さんも、皆んな皆んな本当にいい笑顔。
一つのものを大勢の人で完成させた瞬間を、この眼で
目撃することが出来た幸せに、私も感謝したい。




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