ライフ・イン・ザ・シアター・4/25マチネ

前日は幸い休演日でしたが、もしも翌日だったら
山手線線路の隆起で、恐らく私は開演に
間に合わなかったでしょうね…
途中入退場と云うものをしたことが無いので、
考えただけで恐ろしいです。
と、思っていたら。
当日、家を出た時には晴れていたのに
三軒茶屋に着いたら真っ暗。
ふと空を見上げると、ずどーん!と落雷。
暫くしてサイレンが鳴り響き、結局停電で
世田谷線が停まりました。
開演時間も、其れを考慮して遅らせる
場内アナウンスが流れました。

10分程遅れて無事開演。8列目にて観劇。
本日も視界良好。(笑)

第1場に、今迄とは違う魅力を感じました。
中々言葉で言い表すのが難しい感覚なのですけれど、
味わい深くなったとでも申しましょうか。
コーヒーでは御座いませんが、コクが出た感。
例えば、台詞には無いジョンのはにかんだ
『ん〜ふふ。』だったり『へぇぇー…』の
小さい『ぇぇ』だったり、言動の余韻が大きな意味を
訴え掛けているんですよね。
其れを見事にお客さんもキャッチして返しておりますから、
演じている側からしたらさぞかし嬉しい反応だと思います。
最近、発声練習はずっとメリックさんなの?ロバート♪

第3場のセット裏での、煙草の受け渡しをロバートが
ヘルメットで受け取る変更点には不満。
本来は消えている吸殻を、ロバートが足で揉み消すシーンが
好きだったから。
ビリーが撃たれて倒れる時に、瞬間派手にヘルメットが
吹き飛ぶのですけれど、あれはどうやっているのかな。
ライフルに、ヘルメットの紐を引っ掛けているのかしらね。

第5場辺りから、大きくジョンの内面を
変えて来ていますよね。
以前はロバートの話を右から左へ聞き流しておりましたが
今はロバートの顔を見て返答し、ジョンの中で
色々考えが巡っている様が窺えます。
ロバートが柔軟でジョンの背中を押したり、ジョンが床に
うつ伏せになって、頬杖をついてロバートの話を聞く等
所作は常に変更されている様子です。
是は私の想像に過ぎませんが、公演が始まった当時
この幕の『背筋』と云う詞が重点的に、趣きを
おかれていた様に思います。
其処を、ジョンが若さ故にロバートの思いに
至らない情景を、観客に解かり易く伝えようと
変えて来ているのかなぁ、なんて考えます。

第8場は、私にとってはショックな出来事でした。
前回ふと疑問に思って調べた『クロテン』…
全く別物になっておりました。(爆)
ロバートが『らっくだっかなっ♪』と問い、ジョンは
『イタチですよ、ふっ…』と答えておりました。
確かに、イタチ科でしたよ?えぇ。
でも、いくら何でもラクダは無いでしょう!
原文はラクダかもしれませんが、ならばジョンは
アザラシと答えて下さいよ。(ーー;)
『クロテン』については、私はアンケートに
書いていないので、もしも此処を関係者の誰かが
覘いているとしたら…違う意味で衝撃です。
ジョンは、ロバートのチャックが壊れたのが
大変嬉しそうですね。
他の幕でも市村さんが、台詞の強弱を調整していますが
この幕の『くそったれ!』も抑えて来てますね。
ジョンに『少し太ったんじゃないですか?』と言われた
この『くそったれ!』は、本来抑えたものだと
ずっと思っておりました。
第24場の『台本を持って来てくれ…』は反対に、
うな垂れた呟きから叫ぶ趣向へと変更。
ロバートの心の呟きと叫びバランスが、好転しています。

第9場も、益々大胆に変えていますよね。
葉巻の煙をお互いの顔に吹き掛けたり、ロバート演じる
劇中のジョンが居た堪れなくなり、大きく左回りで
舞台上を歩いてみたり。
インターホンが鳴らない間で、竜也さんが煙で
輪っかを作って遊んでいて可笑しかった。

第11場はなあー、おじいさんが常に『ぅぅぅ〜』と
唸っている。
最後の『ありがとう。』も、ジョンの頭を抱えて
自分の額に引き寄せている。
ジョンはジョンで、窓の立ち位置が変わっていて
劇中劇の擦れ違い感が増しております。

第13場から、ジョンはロバートに物を投げ始めますが
あれは冷たいですよね。マッチやブラシ。
第22場では、マフラーをロバートに背中を向けて
渡されて『ボケナス』と反撃される訳だけど。

第18場もね、二人の中に亀裂が生じているから
ボートの中でもロバートはジョンに背中を向けていた。
第19場で、諸行無常を連呼してジョンを邪魔して
最後にガッツポーズしているけども…
もしかして、ロバート仕返ししているの?
市村さんが、楽屋の鏡(と想定されている)を
ジョンのタオルで拭く様になったのは、確か
15日頃からだったと思うのですが、あれも
ジョンに対するアテツケから来ているのかもしれませんね。

第23場の大量の間は、巧く竜也さん繋いでいると
思いますよ。
第24場の『こ・れ、な・ん・で・す・か?』の間は
二人で顔を見合わせたり、同時にこちら側に顔を向けて
どうしよう、と云う空気を持って来たり巧い!
第25場の間は、ジョンがロバートを心配する余り
虚空に視線を落としておりますが、今公演は涙ぐんでいた。
最終場にも、大切な間が沢山鏤められています。
この4つの連続する場の間は、其々全く違う種のもの
ですけれど、間=空気感であるとすれば、役者さんの技量が
全てであって、其処へ観客は委ねるのみ。
お芝居の醍醐味が間に集約されているとは申せませんが、
繊細な部分故の緻密さは経験からしか得られない
ものなのかもしれません。

東京楽後は、いよいよ地方公演が始まります。
毎日、違うロバートとジョンが生まれ続けることと
思います。大楽まで、目が離せませんね。




戻る