「エレファント・マン」  2002/11/20

一回こっきり、しか観ておりません。
なので、台詞違い、勘違い、幕の前後等、ご容赦下さいませ。

のっけから、余談で恐縮なのですが。。
春・夏・秋と季節を越えて、待ちに待った 藤原竜也演じるジョン・メリック。

私の20日間遅れておった《女の苦しみ》を、呼び寄せました・・・
凄い、凄いぞ、このテレパシーの如く、ビンビン伝わって来る苦しみは。
ふっ、上等ではないか。
この痛み、この辛さ、彼の苦しみを無条件で受け入れるには、持って来いだ。
倒れようが、地を這ってでも行ってやる。
平時は寝たきり、なんですが、↑んな状態で(笑)真っ青な血の気の無い顔で、
強烈な座薬を鎮痛に用い、亀有に向かいました。。

初めに。
2列目で拝観する私が、幾度となく眼を惹かれ、その凝視した視線を、
中々外すことが出来ないものが有りました。
それは、つま先。
気付き始めたのは、足、でした。
もちろん素足、なんですがね。
メリックの、歪みが齎す歩み。
なんだか、違うんです、普通の足、と。
普通の歩み、と・・・そうなんです、つま先まで、足の爪の先まで、ジョン・メリックなのです・・・
この事実に気付いた時点で、目の前に存在する美しい人物は、私には、
見るに堪えない醜いメリックの、その外見にしか映らなくなったのでございました。

話飛んで、髪フェチ論♪
初めて見た瞬間、金髪の、少女の様なお人形さんにしか見えませんでしたっ♪(←上機嫌)
今想うと、キャンディ・キャンディの、幼少の頃の、アンソニー (¨0¨; ぶはっ#

もっと話飛んで、パンフ♪
表・裏表紙、黒。金の、ロゴ。(←誰も聞いてない、か?)
右手指がニンジンの様だと言われたメリックの、それに相反する程美しいと言われた左手。のアップ♪
(↑手フェチには堪らんと思われ)
ばらばらのジグソーパズルのピースが、ページを追うごとに、金縁の額に組まれてゆく。
そして、完成した時浮かび上がるものとは・・・言わずもがな、お判りですね。
砂漠に漂う、不思議な瑞々しさを残す青年。
最後のページが見開ける。
そこには、何とも安らかな・・・・・寸止めっ(笑)
セピアカラーで、稽古風景のお写真がたくさん載ってるんですけども、これが、いい。
静止してる筈のスナップなのに、この一枚が素の藤原竜也なのか、
はたまた演じているジョン・メリックなのか、一目で解かり、見応えがある。

こっから、本編♪
舞台左右に弧を描き延びる階段。
正面上方に架かるアーチ。
重々しい音が響き始める。
湯澤氏演じるスノークが登場し、悲しげな歌を奏でる。
口パク、でした(爆)
後方の方には、違和感、無かったのでしょうか・・・ね・・・
見世物小屋にトリーヴスが現れ、ロスとすったもんだし・・・・・

蔽われていたスクリーンが上がり、襤褸切れに包まれた、スポットの一点に現われたる、塊。
ふらふらと、ゆっくりと、その塊が立ち上がり、前進して来る。
ハラリと、襤褸切れが床に落ちる。
そこには、麻かな、生成り色のパンツ姿の、美しい顔、鍛えられた肉体を持つ、青年が立ち尽くす。

早くも、実物のジョセフ・カーレイ・メリックの姿が、スクリーンに映し出される。
トリーヴスが、メリックの醜悪な身体の創りについて、事細かに一つずつ、解説してゆく。
すると、立ち尽くしていた美しい青年のその部分が、次々に歪んでゆくんです。
口、目の表現、右半身、等、映像が回転すると同時に、メリックも回転する。
研究成果の発表をしている、とゆ〜設定なんですね。

とんがり頭のコンゴの踊り。。
ここ、登場と同時に踊り出したんで、私には、ちと、はてな?だったです(笑)
見世物小屋で、メリックとロスが、見てるんですねぇ。

   『可哀想に、言葉が凄く、不自由なんだね』

象男は警察に追われ、ロスに見捨てられ、僅かに貯めていたお金を騙し取られて、
本国に送り返される。
警官に蹴り飛ばされて、心も体も傷ついて、床に倒れ込む。

     『取ったあぁー。』
     『取ったあぁぁぁぁぁ・・・』

何度も、何度も、絞り出すような、悲しいメリックの叫びが響き渡ります。
もぉ〜ね、こん時既に表情が、俊徳♪

やがて御存知の様に、トリーヴスと再会し、ロンドン病院で生活するようになります。

舞台照明が全て落とされ、真っ暗に。
照明が上がると、そこはメリックのお部屋。
バスタブが私の目の前に。。
看護婦達が柵(部屋の壁を模しておると思われます)を持って、淵に沿って、
舞台前面を塞いだのです。
ん?ナゼ?なぜ故に???とか思ってるうちに、すぐ謎は解けたです。
舞台奥から、タオルで前を押さえてるだけのメリックが、そろりそろりとっっっ!!!
バスタブに納まったと同時に、柵は左右に移動して、固定されました(笑)
これから、かなりの時間、バスタブに納まったままです。
トリーヴスやゴム院長、ハウ司教等が舞台右端でメリックについて語っておる間、
色々な表情・動きを、非常に地味ではありますが、実に淡々と演じます。
触れたらね、崩れ落ちて、壊れてしまいそうな儚さ*
この時点で、私の中には身毒がっ!!!!!(←うるさい)
やがて、バスタブから、出ます、当たり前です。
おおぉっ、私の目の前に、座り過ぎて赤くなった、かわゆいちっちゃなお尻がっっっ!!!
ま、ここでこんなに興奮せんでもええんじゃが、おパンツを、穿くですよ、目の前で。
も、見えてしまわんかと、ちっとだけ(←凄くだな)ハラハラ#
ま、行水シーンは慣れとるっつーことで(爆)
この幕で、トリーヴスがメリックに、 自分達と同じ
思考や言動を擦り込みます。
けど、彼の発展性の豊かな思考力は、留まる事を知らないのです。
バスタブに浸りながら手にする本。

『僕は盲目の療養所に入りたい。そうすれば、もう見られる事は無いから・・・』

聖書や恋愛小説も愛読書、でしたね。

再び照明が落ち、メリックのお部屋、模様替え♪
右手ベット用のカウチソファー、その奥にデスク&チェア、左手前面に、低目のテーブルと、
それに見合う椅子。 テーブルの上には、教会の模型の柱。
ここに座り、何幕にも及び、ゆっくり、ゆっくりと、この教会を創り上げてゆきます。

ケンドール夫人が優雅に、左手階段よりトリーヴスと共に登場、何とも透る澄みきった声!
そして、メリックと面会。
ここ、ここでね、私、攫われたね。
別れる場面で、メリックの手を取り、
『お会いできて、嬉しゅうございました。』
と、ケンドール夫人が雅におっしゃるんですが、面会する前に、女優として、
右手を差し出してトリーヴスと何回も練習する訳ですよ。
自然に美しい方の左手で、受けられる様に。
しかし、実際差し出すのは、左手。
トリーヴスは戸惑いますが、夫人は微動だにしない。
メリックの左手が、微かに震えながら動くんですよ、でも、遠いんです、届かないの。
その手の指先まで、躊躇しているメリックの、心の揺れ動きが表れていました。
やがて左手は元の位置に戻り、醜い右手が動き出します・・・
ケンドール夫人が帰った後、独り、感動の余り号泣。
私も釣られてっ!?あぅぉ〜んっ(←重症)

『こんなに美しい方だとは思わなかった・・・』
『本当はね、そう言ってやろうって、計画していたんです。』

夫人の紹介で次々に、公爵夫人、アレクサンドラ女王、ジョン卿が土産の品を携えて、
訪問しますが、彼等の真の心の内は・・・
ユザワさんっ!話し声もね、女性そのものなんで、びっくりだった!!!
惚れたっ!!!!!

で、ここら辺から、徐々に健常者たちの、醜い内面が表れて来る訳です。

美しい母の写真を、デスクに向かい握り眺めるメリック。
・・・ここが、メリックの口から聞くことの出来た、ロミオとジュリエット論・・・
ここは、秘密に致しましょね。
醜い外見 を、見られ続けて来たメリックが、ケンドール夫人に、ある答えを求め始めます。
美しい外見 を、見られ続けて来た夫人が、美しいメリックの内なる心 に、
見世物に成る為 に、上半身裸体を曝け出します。
ここで、左ブロックに座っておったアタシに、トラブルが。。
小島さんの!いや、ケンドール夫人の綺麗な背中、乳房の輪郭。
これを見詰めた時の竜也くん!いや、メリックの表情が!!!
竜也くんの姿全てが、小島さんの立ち位置に、すっぽり被ってしまって、
全く観れなかった、ううぅっ、無念。
東京楽、1列目センター(爆)
決っして、見逃すまいて (▽_▽)
この場にトリーヴスが現れ、夫人を罵倒し、追い払ってしまいますねぇ・・・
『あなたに羞恥心と言うものは無いのか!!!』

再び見世物として覗き見る人々が増えてゆき、ジョン卿に詐欺的に寄付金を
持ち逃げされたトリーヴスも、ゴム院長も苛立ち始める。
社交界の取り巻きの貴族たちも去ってゆく。
孤独に戻ったメリックは、トリーヴスに問う。

『何故ケンドールさんを、追い払ってしまったの?』
         ・・・
        『ふーん。』
         ・・・
   『外科医として、裸にするじゃないか。』
         ・・・
     『だから?だから?だから?』

畳み掛ける様な、悲痛な叫びが、怒りが、爆発する。
『私が間違っていたかもしれない・・・』
    『夫人は帰って来る?』
『いや・・・来ない・・・恐らく・・・。』
最後に彼は、チカラ無く、呟く。
『本当は、居て欲しくないのだよ、死ぬ時に・・・』
カウチに頭を抱えて座り込み、自分は正しいのかと、思い悩むトリーヴスに・・・

         がんっ!
アーチに現れたる身毒!
     『母札はっ!』ではなく(爆)
          基。
タキシードを凛々しく纏った!ではなく(なぬ?)

ツバメの如き黒いおべべを纏ったメリックがっっっ!!!
           ↑
着替えの時間さえ、惜しかったんだよねぇ、きっと。。
正しい、人並みの、普通の人間論・・・を、初めの研究発表を模して、語るのです。
ここが怒涛の畳み掛けの長台詞。
勿論、台詞を噛む事等有り得ず、満足♪

そぉ〜しぃ〜てぇ〜(笑)
教会の模型が出来上がります。

       『でっ きっ たっ・・・』

よろよろとカウチに歩み出し、ゆっくり、ゆっくり、いつもの、座った姿勢で、床に就くメリック。
と、ほんとに、少しずつ、少しずつ、姿勢が後方へと傾き始めます。
くる、来る、来るぞ・・・・・

がくっっっ。(←自分の中だけで鳴り響く、衝撃音)

き、来たあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ぽろっ。
やがて、普通の人、が、眠る状態と同じ姿勢に。。

美しい左手を、高く、いっぱいに空に掲げっっっ(←絶頂)
        ・・・滝涙・・・
        んああうぅっくっ。

『た、大変だあー、エ、エレファント・マンが、×××』

  『もう遅い、もういい、終わったんだよ。』

人間として扱われた事の無かったメリックが、普通の人間として得たもの、
それと引き替えに、失ってしまった尊いもの。
跪き、ハウ司教に導いてもらいたかった、メリックの、人間としての尊厳。
お話は、やはり、難しいです。
ひとりひとり各個人が、様々な受け留め方が出来るであろう、と思った、二時間でした。

あ、あのぅ〜・・・こんなに長くて、許される?(笑)
長時間お付き合い頂きまして、有難う御座いました*

最後に。(←まだ語り足りないのか?<自分)
カー・ゴム院長のね、その、何つーか、醜悪な部分がですね、
私には最後まで見えて来なくて・・・残念。
それから、場が最大に盛り上がるが何処だったのか、掴み切れなかった・・・反省。
そして、床に座り込んだり、倒れ込んだりする場面が、全く前列との傾斜が無く、頭に遮られる為、
どうしても見切れなかった処有り・・・無念。
東京楽、全てを受け留め掴み切る意気込みで、挑もうと誓った、初回でした。。



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