近代能楽集・初日 2005/06/02


初演・凱旋公演と比べてはならないと思いつつ
やはりキャストが被っているので比べてしまう。
しかしこう思うのも初日だけだろう。次からはもう、基準はこの公演になってゆく。

《卒塔婆小町》
椿の落下音が大き過ぎます・・・花を全て上向きにしようと云う構想で
@舞台床に鉄板が敷き詰められており、磁石が付いている。
又は
A起き上がりこぶし状の重りが付いている。どちらかはっきり判りませんでしたが、
明らかに寝て落ちた花弁がくるっと立ち返っていました。
詩人が絶命するシーンを除き延々と続くものですから、
『かこっ。かこっ。かこっ。∞』と、その音が終始気に障りました。

祝!洋さん詩人復活。
ロングヘアーに明るい茶髪と眼にも耳にも優しい詩人。
どうする。初日でこんなに素敵で。なあーんも憂う処御座いませんでした♪

壤さん小町、ちょっと抑え気味かなぁ。
あの中腰はいつ観てもこちらが辛くなる。どうか痛めません様に。

月川くん、やっぱり貴方の女形さんは抜群だ。ドレスのくぅぃっと括れた細い腰。
軽やかな女性声帯。艶やかな化粧ノリ。私が男なら間違いを犯してしまいそうだ。

ベンチ右から2番目の恋人たち。
おっぱい揉み過ぎです。ぐりぐり猥雑。好きだけど。(爆)
左から2番目の恋人たち。膝を撫でる手を何回も寸止めしない!
そんな恋人たち居ないわ。まぁー内腿へと誘うと、卑猥過ぎるか。好きなのに。(爆)

個人的には、松尾くんの女形さんが大好きだったので今回ちとだけ残念。
顎治ったかなぁ。

《弱法師》
川島夫妻・高安夫妻は安心して観れます。瑳川さん、鼻炎もすっかり良くなられて。(笑)
でもロミオから数ヶ月しか間が空いていないので、どうしても
ロレンス神父がいらっしゃる様なそんな変な気分に襲われる。(ーー;)

さて夏木さん。
んー、強く逞しい女を抑えてはいらっしゃるのだけど、10回近く発する
『私(あたし)』と言う一人称が耳に残る。
『あ・た・しは』『あ・た・しの』もう少し穏やかにしなやかにお願いしたい。
俊徳との距離が縮まると、それはもうロティックな級子さんでした。
俊徳の身体を舐め回す勢いでしたよ。否、そんなことはしませんけれども。(^^ゞ

いつも最後になってしまう竜也さん。
うん。5年の時を経て、彼は男になりました。その分幼さは陰を潜めましたね。
今回花道は演出されておりませんでしたが、下手の通路を杖で探りながら登場する俊徳は
真っ白な光を変わらず放っておりました。絶対背が伸びてます。
ぅえぇえっ!?と見上げてしまいました。(笑)

初演では、狂気が前面に打ち出されていて打ちのめされ。
凱旋公演では甘ぁ〜い青年の薫りに酔いました。
今公演では、台詞回しの緩急が素晴らしく、特に地を響く低いトーンが胸を鷲掴み。
がなることは殆ど無く、ロミオで得たウィスパーボイスも駆使されていました。
あれでも後ろまで届いていると思います。
ひとつ危ういと感じたのは
『僕の目の中へ
   飛び込んだああぁぁぁぁぁ…』の
『ああぁぁぁぁぁ』だ。
あの発声は喉を痛めます。
既に初日怪しかった、腹式でお願いします。あと『眼』について少し。
黒眼鏡を外してから暫く『見えて』しまっています。
未だ初日なので変わってゆくとは思いますが、これは初演を思い出して下さい。
『嗚呼、僕には形というものが無い。』
ここでぶわっと涙が溢れ満足でした。入り日の赤い照明が強くなって来た途端に
『見えなく』なりました。
瞳孔が開いて、燃える炎しか見ていません。感覚取り戻してね、竜也さん。

卒塔婆小町と共に、セットや衣装等に大きな変化はみられませんでしたが
演出意図は蜷川さんが微妙に弄っています。
是非元に戻して頂きたいのは、俊徳が煙草を触る幕。
立ったままなので、いい子に紳士らしく膝を揃え、斜めに構えて微笑んで頂きたい!
駄目かしら?(泣)
それから両両親が部屋から去って、級子と近付く幕で竜也さんにお願いしたい。
もっと妖しく!そして甘く切なく赤子の如く。あれだとね、ただ淡々と語っていると
思われてしまうよ。
最後のスポットの中の、愛されている陶酔の中の俊徳も、もっともっと愛されて欲しい。

パンフレットが英文同記と、尽くニューヨーク公演を意識した仕様に
なっていることでも解かりますが、最後はやっぱり来ましたね。
三島演説再び・・・
ガギャーンッ!と裏緞帳が落ちて、『き、きたよ。。』と思わず
呟いてしまいました。
すぽぽぽぽんっ!と鼓の音は勿論、能楽には欠かせぬ代物ですので
大歓迎なのですが、果たしてアレがニューヨークの人々に理解出来るのか
伝わるのか。一抹の不安です。
裏緞帳の後ろに二本のスピーカーが聳えているのも嫌でした。(^_^;)
一瞬『卒塔婆?墓石??』と混乱を極めます。。私だけかしら。。

兎に角上演時間が短い短編集二編ですもんで、初日の感想はこんなところで。