近代能楽集・5日マチネ 2005/6/5


本日は後列センターより観劇。
くっ…視力が明らかに悪化している模様。眼鏡じゃ色しか判別出来ず。
必死にオペラグラス使用。(泣)

えー。以下少々厳しいもの云いが続きます。
これから観劇されるご予定の方で、キツイ気分になってしまうであろうと
予測される方々は【ブラウザの戻る】を押して読まないことをお勧めします。

未だ結論を出すには早いとは思うのです。
が敢えて好みの問題を優先致しますと、今公演は期待を裏切る展開を
みせております。最も大きな要因は演出です。
弱法師に関してのみ言及しますれば、どうしても、最後の裏緞帳払いの
タイミングが許せないのです。
俊徳にピンスポが当たり、憐れで孤独で悲壮感漂う中にも愛しく美しい彼が
浮かび上がってこそ、この物語の美徳を感じられると思うのです。
彼の昇天的快感を味わう一瞬が、観客には与えられていないのです。
だからと言って、未だ諦めません。演者の皆様が怯んでいないから。
好演だけに悔しい。
この焦燥感を埋めてくれることを願いつつ、観劇を続けます。

卒塔婆小町の椿は、蜷川さんは首の落下(割腹後の介錯)を表現したい様ですね。
確かに重たい頭はぼとっと落ちる。
同時に命が散り魂が浮遊する死も表したいのならば、やはりあの音は・・・

壤さんの小町が饒舌になって参りましたね。滑らかで麗しい。
今に始まったことではないけれど(爆)洋さんの方がお小さいじゃないですか。
でも小町と詩人のワルツは非常に壮快なんですよねえー。
月川くんも、実は初日踊っている最中にドレスの裾を踏んで冷や汗の微笑を
浮かべておりましたが^_^;すっかりステップも軽やかに。
またピンクのヘアバンドが好くお似合い。
ロココ調のアップスタイルが何とも素敵。
洋さんが鹿鳴館で、小町に惹かれる想いを抑え切れなくなってゆく様を丁寧に
演じています。

弱法師。
俊徳が通路から登場する時、級子が客席まで降りて迎えにゆく様に
なっていました。
級子が俊徳の手を引き壇上へ上る階段を、白杖で音響に合わせて突いて
盲の部分を強調していました。
使われている能楽が、とても効果的です。
初日は舞台上で級子が待っているだけでした。変更後の方が当然好感。

竜也さんの眼の感覚、戻って来ています。
『僕はひょっとすると、もう
 星になっているのかもしれないんです。』
俊徳の悲しみが伝わって来て思わず涙が溢れました。
煙草を選ぶ時、煙の時間を堪能している時盲人として素晴らしかった。
あ、選ぶ時は立ったままですけど。(笑)
『私達は皆莫迦で間抜けです!』
嬉しそうだったなあー、俊徳。してやったりの笑み。
川島の母が級子を綺麗だと言うが、しかし自分には見えない『不公平だなあー。』も
本当に子供が惜しがる如く。
『死んでもいいんだね、僕が。』に至っては
もう完全に級子に敗北していて泣けますぅー。

唯一他人を見下し上位に立てる優越。性的絶頂に等しい快楽。
それを奪われ否定され、級子に媚びることを覚える・・・

いいよいいよぅっ!感じて来たよ。もっと虜にしておくれ。