天保十二年のシェイクスピア・大千穐楽  2005/11/7


… っはあーーーーー …
終わっちまいましたねぇ。
別に観客は座って拝見しているだけで、実際に
お芝居を演じていらっしゃる出演者の方々に比べれば
疲労なんて、比べものにならない…
と思うでしょ?
そうなんですよ。そうなんですが。
大楽を迎えると、いつも身体的にも精神的にも
実は激しく磨り減っているのですよ。
そんなことでどうするよ!と思われるでしょうが
キャストやスタッフの皆様は、疲労感と共に
大きな達成感をも手に入れる瞬間が千秋楽には
あると思います。
対して同じ空間で同じ刻を共有している
客席の一人一人には、月並みな詞で云うなれば
『感動』と云う時を過ごした実感と『寂しさ』と云う
虚脱感が後に大きく残ります。
それは、能動的な演者の方に比べひたすら受動的な
立場に徹する故の、侘しさに他なりません。
役者さん達も愛着のあるご自身のキャラクターを
2度と演じることは無い訳ですから勿論一種の寂しさは
感じることでしょうが、2度と同じ演目として
観ることは出来ない観客の物悲しさも、思い入れが
あればある程ずしんと圧し掛かってくるものなのです…

とは言え(^_^;)御目出度い日を無事に迎え、本当に
お疲れ様そして有り難うと、心からお伝えしたい
気持ちで今は一杯ですかね。
今回の大阪は、11月と云うに晴れても雨降りでも
滅茶苦茶暑くてへばり気味でした。
こちらに戻り涼しくて、軽くショック。(笑)

シアターBRAVA!初めての、お2階席最前にて観劇。
えぇついに体験致しましたわよ、熱のこもる
蒸す2階の空気を。(爆)
1階席は、やはり暑いと言っても涼しい方でした…
何でしょうかねぇ、あの空調システムの不備加減は。
天井は高い方だと思うのですが、建材質に問題があるのか。
通路は狭いし階段角度は急斜だし、怖ろしいっ!
最後列までの距離が物凄かったですね、舞台ちゃんと
見えるのかと一抹の不安が残りました。
実に怖ろしきことは、カーテンコールで2階席も
オールスタンディングになった時。
震度3でしたよあれは…
つかマジで地震かと、照明器具で確認した。(ーー;)
何時終わるか知れないカーテンコール。
ぐわんぐわん大揺れで、それはもう怖くて怖くて。
んーーーーーーー。(苦)

ま。気を取り直して。(=_=)
べすとおぶ女郎賞を、松坂早苗さんに差し上げたい。
貴方の腰つき、王次を誘う激情の上下運動(*^。^*)、
エピローグでの貴方のスリラー振りを私は忘れません。

べすとおぶ若衆賞は新川さんに。
王次の顔面噴射と、お光の火消し槽ダイブの
水物犠牲に。
胡散臭い刺青Tシャツの壺振りも素敵でした。
紐で繋がったサイコロ^m^新川さんが無くしちゃったの?

中島さんのおっぱいも、本当にお疲れ様!
三世次のリズムを61回刻んだ貴重なおっぱい。
女性は1ヶ月に1回は乳腺が張って痛いのよ!
今回沢山台詞があって、見せ場がてんこ盛りだったね。
ゆっくりおっぱい休めて下さい。

恵子さん、お花見の幕で簪が引っ掛かったっちゅうーか
鬘が微妙にズレたっちゅうか。
驚いて、しゃっくり出ちゃったかも。(笑)
台詞発し辛そうでしたが、最後まで
よく耐えて下さいました。
もう、バナナとはんぺんは何年かは見たくないでしょう。
お歌は少々不得手のご様子でしたけれど、美しい
内腿を毎回有り難う御座いました。

今公演、一番楽しんでいる様にお見受けした徳馬さん。
お百姓さんの節回しと言い亡霊と言い、最終公演で
1回多くサービスしてくれた『ぇえぇぇぇ?!』
と言い(^^ゞ三の線満喫と言ったところでしょう。
九郎治の刺青が、紋太の着物の合わせから覗かないか
いつもそわそわしておりました。

夏木さんはズルイよねぇ、歌良し身体のキレ良しで。
御声のトーンは毎公演均等だしアドリブも自在。
お色気もお笑いも、女優さんに求められる要素を
全て持ち合わせていらっしゃる。
お着物の胸元は危機も数回御座いましたが(-"-)
夏木さん演ずるお里の華やかさが、この演目には
絶対に欠かせませんでした。

白石さんは拝見する度に、演じ方が全く異なるけれど
その引き出しの無限さには本当に感服。
女優さんも、一日にして成らず。だ。

毬谷さん、もっともっと観たかったなぁ。
私が彼女のお芝居を初めて拝見したのは
実は20年近く前。
それから変わらず保たれている美貌と、
娘から老婆までをも演じ分けられる変革し続ける
絶妙のこのバランス。
カーテンコールでは、加代ちゃんもうるうるしてたけど
エピローグで出て来た初めっから涙雨^_^;ではなく
号泣していたのは、とんちゃんでした。
泣かないでえ〜〜〜〜〜。(T_T)/~~~

そうそう。十兵衛が十五町歩いてゆく振りが!
60回は(笑)足の運びがとても印象的な
スローモーション的動きでしたが、何と61回目は!!!
ちょこちょこと数cmずつ摺り足で進み、しかも
途中で立ち止まったり包みを持ち直したり、
ぶつぶつ独り言を唱えたり。
最後の最後に冒険したかったのかしら♪

洋さんは、出演時間は極めて少なかったですが
桶の木槌捌きや太夫の死への嘆きには、
大変苦労されたのではと思います。
公演が終わりに近付いて来ると、わざと指を打ってみて
『痛てっ!』とか少し遊びを加えられて好かったなあ〜。

涼子ちゃんは、凄く公演中に成長されたと思います。
大阪に入って最も変化が著しかったのは彼女でした。
おさちの茂平太様へのラブっ振りや、お光の啖呵や
愛らしさも、女優さんとして今後益々
飛躍されるであろうと嬉しくなりました。

勝村さんは本来、ニの線も三の線もイケル筈なのに
何故だか三枚目が多い御方。(*^^)v
今回の幕兵衛で、彼の凛々しさにも目覚めたお客さんが
きっと増えたでしょ♪

壤さんの飯岡の助五郎はさあー、大橋てつじさんも
東京の初日からテープで御鼻吊り上げててどうしようかと
思ったけど(笑)あの御顔で、ずうーっと上を
見ていて気分悪くならないか心配でした。
私なら絶対頭がんがんしちゃうもんなぁ。

沢さんの大前田の栄五郎、出番待ちのテンション維持が
大変だったと思うわぁ。
和モノも洋モノも巧みにこなす方ですが
沢さんあっての、あの大前田の、だった。
憎めないタイプの親分だったなあ〜♪
『♪〜親次第〜♪』の両手で袂をぴろっと掲げる仕草が
好きでした。

義太夫さん、大阪ではお尻勝負に出ましたが(笑)
大楽では文字通り『大』の字に這い蹲って
立ち直るまで、かなりのお時間を要しましたね。
優しい義太夫さん、どうもありがとう。

木場さんは前面に出てもお話の進行を陰で静かに
見守っても、全編に亘り陰陽となり支えて下さって
ほんとに素晴らしかったですね。
御礼を申し上げたいぐらい。
プロローグの♪〜もぉーしぃーもぉシェイクスピアが
いなかぁーったら〜♪の、隊長の腰の落とし具合が
最高で御座いました。

竜童さんの楽曲にも感謝を。
井上氏の詩が乗って奏でられる五線譜の全てが、
このお芝居の素敵な想い出のひとつです。
サントラが出なかったことが悔やまれてなりません。

唐沢さんが、あんなにお身体のラインが細いとは
思いもしませんでした。
この三世次が地味な存在に映ったのは、彼には
痛快な役がお似合いだから。
饒舌で派手で豪快な役柄を演じたら、あの小柄な体格を
決して感じさせない器量の持ち主に違いありません。

『俺の台詞まで奪ることはねえだろぅっ!』
竜也さんの右膝の痣が、このコケの為に出来ると
気付いた時、嗚呼お膝のサポーターになって
差し上げたい…と変態な発想を持ってしまいました。(爆)
ほんの一瞬ですが、すっごく痛そうな眼をされるのです。
初めての歌有りのお芝居で、そこばかりに着眼して
しまいがちでしたが、充分に身体も体当たりで
酷使されておりました。
精神的には多少余裕が持てたとは思いますが、
楽なお芝居では無かったと感じます。
私は歌もとっても気に入っていましたよ♪
何よりも、今回動ける藤原竜也、笑いを貰うことの
喜びを知った藤原竜也を、社会に大きく
アピール出来たと考えます。
これがまた、貴方の次のお仕事で生かされるでしょう。
あぁ…大好きでした、王次。(/_;)

風船や花火の祝福と共に、幸せな2ヶ月間を
噛み締めました。
カーテンコールで唐沢さんがよくされていたターン。
竜也さんも負けじと回っていたけども、未だ未だ
青いと笑っちまったぜ!(*^^)v
夏木さんも珍しく華麗にターンしながら登場されましたね。
竜っちゃんより全然キマッテいた。
もっともっとイイ男になっておくれ。

蜷川氏にも、深い感謝を込めて。。